東京アンブラー Tokyo Ambler

東京の路線図めぐり

大手町(M18)  首塚のあるオフィス街

 

大手町という地名には特別な響きがある。大手町には金融機関を中心に日本を代表する大手企業の本社が林立している。いくぶん昭和的な響きはあるが、大手町に勤めているとういうフレーズには、会社員やOL(これも昭和的)たちの誇りが含まれていた。ビジネスの中心地という響きがある。

帝都大戦

 

駅名の大手町にも固有の価値がある。

 

大手町にはJRの駅がない。路上に設置された線路など、このビジネス中心街では、単なる非効率的な土地利用なのだ。

 

大手町というビジネス街の表門がこの駅なのだ。この駅には、丸の内線、東西線、千代田線、半蔵門線が乗り入れている。毎日40万人弱の人が乗り降りしている。これは東京メトロの駅で池袋につぐ二番目のランキングだという。それに加えて、大量の通勤、通学客がこの駅で乗換えている。JR、私鉄等との乗り入れのあるターミナル駅とは違うが巨大という名にふさわしい駅である。

 

 




しかしこの駅には池袋、渋谷、新宿のような巨大ターミナルとは全く違った雰囲気がある。それは時間にもよるが、乗降客の違いである。当然ながら、旅行客や家族連れとは基本縁遠い街だ。朝夕の乗降客の印象はモノトーンだ。背広、スーツの比率が高い。

 

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ビジネスカジュアルになってから久しくなるが、ポロシャツで朝の通勤時にこの駅で乗り降りすると、なんとも周りから浮いた気分になってしまう。

 

ビジネス以外でこの場所を訪れることなどなさそうである。

 

実際、この近辺で働く頻度が少なくなった僕にも、大手町に最終目的地はないようなものだが、実は、一つだけある。

 

何か月かには一度、訪れなくてはならない場所があるのだ。

 

巨大なオフィスビルの間に、その不思議な場所はある。

 

将門塚である。平将門の怨霊を鎮めるための神社である。平将門の乱で討伐され、平安京に送られ斬首されたが、その時、将門の首が空高く舞い上がり、いくつかの場所に落ちたという伝説がある。その一つが落ちた場所が大手町の首塚である。将門の怨霊に苦しめられた住民がそれを鎮める目的で作ったという。今は三井物産の本社の横にある。

 
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実際、この将門塚というのは、多くの都市伝説を生み出している。隣接する某金融会社が将門塚に背を向ける形で新しいビルを建てたので、業績不振に陥った等々。実際その金融会社は他社に救済合併されることになった。

 

大手町の近くで働いていた時に、先輩に、御利益あるから付き合えと言われてお参りにいった。お参りから帰ったあと、近くの蕎麦屋で、その先輩が、実は、言ってなかったけど、御利益は抜群だが、お参りに行かなくなると、祟られるぞ!とニヤッと笑った。それ以来数十年、比較的頻繁に将門塚には訪れている。迷信は信じない方だが、やはり祟る神には敬意を表すべきと思っている。もともと反乱側をリスペクトする気質があるのもその理由の一つだ。


『帝都物語』予告編

 

どうしてもたまに来たくなるほどレストランや食堂はこの街にはない。