茗荷谷(M23)坂のある街
茗荷谷というものの、この丸の内線の駅は谷間でなく、どちらかといえば馬の背の高台に位置している。この馬の背のあたりから、護国寺や千川の方に下っていく地形になっている。そのせいもあって、桜の名所である播磨坂、教育の公園横を降りる湯立坂、拓殖大前を通る茗荷坂など魅力のある坂が多い街である。多分、坂好きのタモリさんも何度もぶらついているはずだ。
後楽園、茗荷谷と電車が地上に顔を出す駅が続く。これも特徴と言えば、特徴だ。あとは四谷ぐらいだろうか。
これといった特徴のある街でもないのだが、この小さな駅の外に出ると、なぜか広々とした気持ちになる。地下鉄が地上に顔を出した時のちょっとした解放感が連続しているのかもしれない。
あるいは、頭の中に、本郷台地の高台に位置するというイメージがあるからなのか、住宅地なので、高い建造物がそんなにないからなのかのどちらかもよくはわからない。
文京区というだけあって、駅のまわりには学校が密集している。拓殖大学、お茶の水女子大学、跡見女子大学から、教育大付属、都立小石川高校、から窪町小学校まで、様々な学校が集まっている。
それもあってか、他の路線の乗り入れのない駅の中では丸の内線で二番目に乗降客が大きいらしい。ちなみに一番目は西新宿である。西新宿は明らかに新宿西口のオフィスビル街や都庁があるので、ビジネスの乗降客だが、茗荷谷の場合は、学生の通学が大半なのだろう。
ちなみに2023年には中央大学が元営団地下鉄駐車場跡に移転してくるという発表があった。これによって5000名が毎日この駅を乗り降りすることになるらしい。
この跡地は、更地にするまでに、遺跡調査での中断などを入れて随分時間がかかったようだ。文教地域という意味では、願ってもない誘致なのだろうが、この小さな駅の収容力という意味ではどうなのだろうと心配になる。
大学以外で言えば、教育の森公園、窪町公園、占春園など大小さまざまな公園の多い街でもある。駅から15分ぐらい坂を千川通の方に下ると、山本周五郎の赤ひげで有名な小石川植物園がある。
飲食店はイタリアンレストランなどを中心にほどよい数の小さな店が散らばっていて、散策をしていると、思わぬところに、洒落た店を見つけることができる場所でもある。
散歩したり、住んだりするには穏やかで良い街だ。
名所と言うならば、啄木終焉の地、幸田露伴の家などがあるとはいえ、観光客が殺到するような場所でもなく、来年の東京オリンピックの影響をそれほど多くは受けない駅のような気がする。オリンピック人気で金栗四三がいた場所として軽い街おこしをしている気配があるが、それを住民が囃し立てるような土地柄でもなさそうだ。
おすすめのカフェは出入口が二つの通りに面したtotoruの雰囲気が悪くない。
知る人ぞ知る焼肉の名店が和。なかなか予約が取れない。
https://tabelog.com/tokyo/A1323/A132302/13003837/